無重力の海で

日記とか絵の制作過程とか好きな歌詞を乗せたり好きな動画紹介したりするだけのブログ。

偶然なんかじゃなく、必然の (4)

まだ続きますよ。 壁|ω・)ノシ

 

 


いままでは自ら潮を食うために憑いてるといっていたのに
いざ潮を食べたとなると穴が開いてしまった気がする。
あの時の、潮に『バケモン』といわれて潮が離れていった時のように。
そしてこのときようやく自覚する。自分は潮に執着していたのだと。
潮のことが好きだったのだと。

いまさらだよなぁ・・・そんなにあのチビの事が好きだったなんてよぉ・・・
認めたくなかったんだろうなぁ・・・

脳内でそんなことを考えながら誰かが話し出すのを待つ。

「あの、とら・・様・・・泣いていらっしゃるのでは・・・?」

・・・あ?誰が泣いてるって?わしが・・・・?

そう思い下を見てみると水が数滴足元にこぼれている。
上を見てみると穴が開いている様子もないし
開いていたとしてもとらの髪の毛やらなんやらで
足元に落ちてくるわけが無い。

妖のわしが泣いてるだと・・・?

そんなこと出来ないはずなのに。

「・・・わしが泣くわけないだろが。わしは妖なんだぜ。」

そう、妖は泣かない、はず・・・。
少し窓際で涼みながら考え事でもしよう。

そう思い窓際の方へ歩いていた。
そのとき、後ろから何かが軽く爆発したような音がした。

だれかがあるいてくる。今はもう居ないはずの者の気配。
自分が食ったはずの懐かしい人間の匂い―

そして足音は自分のうしろで止まり、そして声がする。

「なぁーにメソメソ泣いてんだよ、とら」

ああ、懐かしい声だ。ほんの数刻居なかっただけで
こんなにも懐かしいと思えるものなのだろうか。
そしてその声に応えるべく後ろへ振り向く。

「・・・へっ、別に泣いてねぇよ、ばかうしお」

「へーんだ、涙目にためながら言っても
説得力がねーんだよ」

そこには自分の好きな者が、守りたい者がいた。
自分の好きなあの笑顔で。

他に居た奴らも潮なのか疑問に思いながらも
本物なのだと確信へ変えていく。
自分はそんな疑問なんて持つわけが無い。
なぜなら本物は今までずっと一緒にいて
一緒に旅をした、自分の相棒なのだから。

けっ、わしがあいつのことを相棒なんて思うなんてな・・・
柄にもないけどそういうのも悪くは、ないな。

なんて考えていると何かで額をどつかれた。

「ぃぃっ・・・ってーなこのバカチビッ!!」

「うっせぇ!このばか妖怪!!俺の言ったこと
覚えてなかったのかよ!」

「あ?何がだよ?」

はぁ~。と溜息が吐かれる。この馬鹿に呆れられるとは・・・

「俺いったよなぁ・・・お前が、俺が居なくて寂しいっつってメソメソ泣いてたりしたら、
そんときゃぁバケモンになって帰ってきてやるってな。」

そういえばそういっていたかもしれない。

「おまえがメソメソ泣いてくれたおかげで、俺は今
本来眠ってるはずなのに現代に帰ってきて妖になっちまったわけよ。」

怒ってる理由、わかったか?そうきかれて
あのときの言葉を思い出した。

『じゃあな、とら  出来ればもう二度とお前とは会いたくねぇよ』

あの言葉はもしかしたらこうなるんじゃないかと思って
言っていたのか。つまりは起こすなと。

「あぁ?ちげーよ。おめーの事だからどーせすぐ忘れるんだろうと思って
一応俺を覚えとけって釘を刺しといただけだぜ?」

すぐ忘れる?お前のことを?そんなことあるかよ。
たった1年だろうが2年だろうがそんなのは関係ねーんだよ。
おめーみてぇな面白い奴は1000年くらいたっても見つからねーぜ。

「へぇ?じゃぁお前俺が居なくて寂しかったのか?」

「・・・おうよ。」

・・・・・・・・・・・・・・・なんかしゃべれよ。

そしてしばらく間をおいていきなり潮が笑い出した。

「とっ、とらがっ、さ、寂しかったって!?あっはっはっはっは!!」

「な、なんだよ!人がせっかく素直に思ったことを言ってやってんのに
何笑ってんでぇ!!」

「ん?ああ、ごめんな、とら。まさかお前から寂しかったなんて
言葉が出るとは思わなくってよぉ」

嬉しそうにニコニコ笑う潮。なんかどうでもよくなってきた。

「で、どうすんだ?とら」

急に聞かれて何のことか分かるわけが無い。

「なにがだよ?」

「俺についてくんのかっつってんの。」

・・・あんまりにも当たり前のことを聞かれて戸惑った。

「だってお前俺を食べるって目的は叶っただろ?
だったら俺についてくる意味ないんじゃないか?」

何を言っているのだろうかこの人間は。
そんなものは当の昔に決まっている。

「たしかにお前を食べれはした。けどまずかった。
かーなーり、まずかった。」

「うーわっ、こいつ、くわせてやっといてそれかよ!!
まずかろうがうまかったって言うのが礼儀だろ!」

「たしかにまずかった。まずくて2度も食べる気が
おきんわい。けどなぁ、他の奴に食べさせる気なんざ
もっとねぇ。」

「は?おいとら。どういう意味だ?」

「まずかろうがなんだろうがおめーは前と変わらず
わしのもんだ。いいか、覚えとけ。お前を食っていいのはわしだけだ。」

うまく理解できずまだ瞬きをしているうしおをみる。

「んーと、それは安易に俺はお前のモンっつーことか?」

「おうよ!」

「・・・お前、意外と独占欲強いのな。」

うっ・・・違うと言いたいがあながち否定も出来ない。
ので顔をそらした。

「ぷっ、くっくっくっく・・・お前可愛いとこあるなぁ」

そういいながら潮は頭を撫でて来る。気持ちがいい。
こいつになら頭を撫でられてもいいかもしれない。

「じゃあとらは俺についてくるんだな?
今のうちだぞ?獣の槍から離れるのは。」

そう言われてから思い出した。あの時額をどついた何かは
獣の槍だったのか。
まぁ、獣の槍があろうとももう決めた心は揺るがない。
前と同じように言い訳を言ってやる。

「ばぁか。わしはお前に取り憑いてんだぜ。うしお」

そうゆうとうしおが笑いながら予想通りの応えを言う。

「へん、とら、おめーなんていつでも退治しちゃるわい!」

いつもの掛け合い。いつもの喧嘩。
前はどうでもいいと思っていても今となっては大切な一瞬。

「まぁ、俺はとらのせいで妖になったんだから?
ちゃんと責任とって退屈させないようにしてくれよな。
なあ、とら。」

自らの名前を、この者が付けてくれたこの名前を
この者が呼ぶたびに優越にひたる。
自分だけのものなのだと。そして自分もまた
彼の者だけのものなのだと。

「おう!わしゃ、お前と居て退屈はしないが
お前もわしと居て退屈はしてなかったろうが!」

勢い良くうしおの頭に飛びついたら
バランスを崩してうしおごと倒れた。
だが、こんな馬鹿なことでもいい。
お前と一緒なら、ずっと一緒に居られるなら
どんだけ困難が来ようとも大丈夫。
なぜならお前とわしは2体で1体なんだからな!





「あのよう・・・再会出来て嬉しいのは分かるけどよぅ・・・
そんな惚気られちゃ俺達一体どうしていいのか
わからないんだけど・・・」

イズナのその言葉で両者とも顔を真っ赤にして
否定したことは言うまでも無い。

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今回予想外に長かったわ。
でも一応ハッピーエンド!とらうしだけどね!!
腐女子だから仕方ないよ!!!
この後もしかしたらまだ続くかも?
もし読んでくれてる人が居るのなら・・・ありがとうございます!!