10分くらいたってもぼーっとしている和巳をちょっと心配になりだしたうしおが声をかける。
「おーい、和巳?どうしたんだよ、どこか痛いのか?さすってやろうか?」
「・・・・。」
「ではうしお様、この人間が今一緒に旅をなさっているかずみという方ですか?」
「うん、そう。俺とおんなじでまだ見習いなんだって。」
「そうですか。」
うしおはまだ和巳が状況を飲み込めていないと気付き和巳にかがりについて紹介した。
「和巳、この人はさ、俺が前に獣の槍を手に入れたときにさ、母ちゃんについて知るために旅してたのよ。
そんでその途中でお世話になった鎌鼬ってゆう妖怪がいて、3人兄弟なんだけどその一番下のかがりって言うんだ。」
「どうも。」
「はぁ・・・どうも・・・」
とりあえずどういう訳で知り合ったまでは詳しく聞かずとも世話になったと言うところで旅の途中で助けてもらったりしたのだろうと考えた。
それにしても・・・
(このねぇちゃん寒くないのか・・・。あ、そうか妖怪って今さっきうしおがいってたっけ。)
と少しずつ状況を飲み込みつつうしおが何か言おうとしているので耳を傾ける。
「そうだ、かがり。今日だけでもいいから泊めてくれねぇか?ちょっと泊まるとこ探してたんだ。」
うしおの言った言葉に耳が抉れそうになった。
「はい、うしお様が困っているのを助けない訳にはいきませんもの。それにうしお様には何度も助けて頂いております・・・。
それくらい喜んで致します!どうぞお泊まり下さい!」
そしてかがりの言葉を聞いて冷や汗がだらだらと滝のように流れ出した。
(え、ちょっと待って、妖怪の家に止めてもらうのか?危なくないか?!)
そんな考えをしている間にうしおはかがりとすたすたと先へ行っていた。
(・・・うぅ・・、こうなりゃもしもん時は妖怪なんざ殺してやる。知り合いだか何だか知ったこっちゃねぇ)
考えながらうしおの側へと走っていった。
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時は少しさかのぼり遠野・鎌鼬家―
「かがりはちゃんと買い物できただろうか・・・?」
「雷信、お前ってホント過保護だなぁー。大丈夫だって、かがりだってそれくらい出来るよ。」
「そうだろうか・・?十郎、お前も心配ではないのか。」
「あぁ、まぁ大丈夫だろ、もしもの時はなんとかするだろうし。相当強い妖とかと会わない限り。」
そう、今鎌鼬の家にはかつて多くの人を殺し、そしてうしおの心の温かさに触れ今まで己のなしてきた事の償いとして
自ら命を絶った鎌鼬兄弟の次男、十郎が帰ってきていた。
「・・・やはり心配だな。迎えに行った方が―」
「ただいま帰りました。」
「かがり、遅かったな。何かあった・・・」
雷信が迎えに行こうとしたそのときようやくかがりが帰ってきた。
「こんばんはー。あ、久しぶりー雷信!」
うしろにうしおと知らない男を連れて。
「・・・。こんばんは。」
「え、と・・うしお殿、お久しぶりです。またお会いできて嬉しいです!して、そのお方は・・・?」
和巳のことを知らない雷信は微かに殺気を出しながらうしおに問いかける。そしてうしおはまたかがりにしたような説明をした。
その時奥のほうで待っていたイズナと十郎が誰が来たのかとやってきた。
「おーーーーー!!ぅおおおおおおおーーーー!!うしおーーーー!!久しぶりーーーーー!!」
「イズナーーーーー!!ひさしぶりーーーーーー!!」
ガシィ!!
首元に飛びついたイズナをうしおが両手でギュウッと包み込むように抱きしめる。そしてしばらくして離れた。
そしてうしおがイズナと一緒に来た十郎の存在に気付き目を大きく開いた。
「・・・よう。」
「あ・・・十郎・・・」
「久しぶり、だな・・・・。」
「うん・・・。」
うしおと十郎の、そして周りにまで重い空気が漂う。
(なんだこの・・・今まで付き合ってて昨日別れたばっかりで今日会って気まずいカップルのような雰囲気は・・・)
たとえが意味が分からない。とりあえず理由を知らないイズナと和巳はどうしていいか分からずうろたえていた。
そんななかうしおが「疲れたー」といいだしとりあえず中に入っていいかと十郎たちに尋ねた。
今日は重い話は抜きにして泊めてもらえることになった。
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なげぇ。いったん切っとけばよかった。とりあえず鎌鼬さん家にお世話になります。十郎大好きだー!!